新事業、多角化事業の選び方


新事業の種を持っていますか?

経営支援窓口にいらっしゃる中小零細企業の経営者の方の中には、

  • 私は一体、どんな新事業を始めたらいいですかね
  • 何か儲かりそうな新事業を教えてください

 

とおっしゃる方がいらしたりします。「種」さえもないというケースです。


新事業の種は企業によって違う

上述のような質問をしてくる経営者は残念ながら、「思考停止」に陥っているケースが多いようです。経営的に厳しい状況になっていたり、不動産経営などで安定的な収益を確保しているものの、のほほんと過ごしてしまっていて考えることをやめているケースなどです。

 

思考停止になっている時には、新事業の種を思いつくことは難しい状態でしょうね。思いついても、いわゆる「思いつき」で裏付けもなければ、想いもありません。結果として、新事業の種は腐ってしまい、芽が出ません。

 

実は新事業の種というものは、「企業によって違って当たり前」なのです。なぜなら、それぞれの企業で持っている資質や資金、スキル、社風、環境、立地などあらゆることが違うからです。それを意識しないで「あそこの企業ではこんなことをやって儲かっているらしい。うちもやろう」では、、、先が見えますね。

 


周囲の声によく耳を傾ける

では、どんな新事業、多角化を目指せばいいでしょうか。実は、よく聞くのは「この市場、儲かりそうだから」というものです。悪くないですが、儲かりそうだと思う市場というのは、他の事業者も同じことを考えているはずです。また、そこにはきっと既に多くの事業者がいるはずです。簡単には市場に参入できないものです。

 

そこで、勧めているのが「周囲の声によく耳を傾ける」ことです。

 

たとえば、いつも対応しているお客様から「おたく、こういうことはできないの?」って聞かれたとき、普段なら「あ、それは弊社ではやってないんです」とか、「別の事業者さんをご紹介します」とか言っていませんか?そういう中に新事業の種が隠れているかもしれません。

 

他にも、社員や営業担当者、取引業者などの話もよく聞いて、自社でできることはないだろうかと考えてみます。場合によっては、ここで「新事業ではなくて、今の事業の中でこれはできる!」というものが見つかるかもしれません。それは、低リスクでできるでしょうからもってこいです。

意識しないと聞けないこともありますから、リスクの高い新事業に目を向ける前に、こうしたことも考えたほうがいいものです。


アンゾフの成長マトリクスを活用する

アンゾフの成長マトリクスをご存じの方も多いかと思います。新事業開発をする際、このアンゾフのマトリクスを使って、自分がやろうとしている事業がどれにあたるのかを考えて、その戦略リスクの程度を認識したほうがいいでしょう。

ご存じの方も多いとは思いますが、簡単に説明すると、既存製品を既存市場に投入していくことを「市場浸透」と呼んでいます。より顧客に深く入っていこうとすることです。新事業に取り組む前に、これをやるべきということは間違いありません。

 

そして、新製品を既存市場に導入するのは、「新製品開発」、既存製品を新市場に入れるのが「市場開拓」、最後に新製品を新市場に入れるのが「多角化」と呼ばれます。

 

多角化には非関連多角化と関連多角化があります。まる3の多角化は非関連多角化であることが多く、リスクが高い割にはリターンがわからないというケースがあります。

 

新事業をやる際には、2のどちらかを選ぶのが得策と私は考えています。また、もし3を選ぶとしても既存事業との連携ができるような事業をお薦めします。

 


できること × やりたいこと × 求められていること

もうひとつの新事業選択の方法として、このできること×やりたいこと×求められていることの三つが重なったところを探すというのもおすすめしています。

この手法はよく就職活動などに使われたりもします。自分のやりたいことは何で、できることはなにか、そして会社から求められていることは何かとか考えるわけです。

この図を見てください。

できること、やりたいこと、求められていることを3つの円で表します。集合のベン図というやつです。

 

できることとやりたいことが重なっている部分は、求められていないので、単なる趣味になる可能性があります。お金が生み出せないということです。

 

一方、やりたいし、求められてはいるけどできないというものは、能力が足りないのでお金になりません。うまいこと外注などを使うとできる可能性もありますが、その形はやりたいことの形ではない可能性がありますね。

 

さらに、できるし、求められていることは仕事として対価を得られるものではありますが、やりたくないものだと長続きしないということに陥ります。

 

結果として、本当はこの3つが重なるところを選択したいところです。

 

実はこのベン図の外にはやるべきことというのが隠れています。やるべきだけどできなかったり、やりたくなかったりするということも事業運営ではどうしても出てきます。実際、そういうものは外注化したり、それが得意な従業員を雇ったりということで回避しなければなりません。コストがかかることを認識しましょう。

 


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市場性はあるのかを気にするか?

新事業をするのだから、市場性を気にする必要はありそうです。需要がなければ、新事業は育ちませんからね。

しかし、正直、実際の市場の需要を測ることは本当に困難です。

大企業が新規事業に乗り出す際には、市場調査会社などを使って、需要を測ったりします。が、小規模事業者が同じことをするのは、コストのことを考えると難しいですね。

 

私がこういう時に申し上げているのは、「感覚的に、自身が目指す売上は達成できそうか?」というものです。そして、第三者の意見も複数、聞いてもらいます。

金融機関に資金を借りる場合には、こういうことではいけませんが、そうでない場合には「自社が十分と思える範囲での需要が見込めるか」という判断で十分です。

 


新事業の種が見つかったら、事業をどう進めていくか考えてみましょう。