事業計画書に書く、VISION(ビジョン)。よく聞かれる言葉です。が、なんだかよくわからないということもあります。いろいろな解釈があったりするので、またこれが一定しないので困ります。が、私はVISIONを「なりたい姿」と訳しております。
なりたい姿というと、To Beと英語では言うこともあります。対義語はAs Isでして、現状の姿です。私自身は距離の違いはあるのもの、To BeとVISIONはほぼ同じものと認識しています。それは違うというご意見もあろうかと思います。が、そこに違いを感じているのであれば、この下は読まないほうがいいかもです(笑)
SWOT分析で書いた、強み(Strength)と弱み(Weakness)は、まさに上述のAs Isを示しています。
今、自社がどういう状態なのかを表しているからです。
どんなところに競合他社と比べて強いところがあり、弱いところを持っているかを示しています。
VISIONの種はここにあります。
内部的なVISION、なりたい姿を設定するには、方向性として二つあります。
たとえば、強みとして「SNSのフォロワーがたくさんいる」というのを挙げていたとします。「たくさん」というのが副詞で定量的ではありませんが、VISIONは副詞でもかまわないでしょう。
ただ、SNSのフォロワーがたくさんいるというだけでは、仕事としてはあまり役に立っていないように見えますので、できれば、その結果としてどういう状態になっているのが良いかも記載したいところです。
SNSのフォロワーがたくさんいて、継続的に増え、情報がフォロワーにしっかり拡散している状態
のようなものの方が少しいいでしょうか。次のステップでは、この状態を達成したと第三者が認識できるように定量的な目標値に落とし込みたいところです。
こちらは、いわゆる弱みを克服した状態を表現します。「死蔵在庫がたくさんある」という弱みがあるなら、「死蔵在庫は対売上で1か月分しかない状態」とか、「死蔵在庫は保有していない状態」などとするのがいいでしょう。
上述の強いところをより強くした状態と同じで、この状態を第三者が認識できるように定量的な目標値に落とし込めれば、さらに良いでしょう(この死蔵在庫の場合は保有しない→ゼロという意味ですから定量的ともいえます)。
VISIONはひとつじゃないといけないということはありません。かといって、100個もあると管理しきれませんし、社員さんがいらっしゃる場合は伝わり切りません。人間、マジックナンバーセブンなどという言葉がある通り、せいぜい、覚えたり認識したりできるのは7つ±2つくらいではないでしょうか。さっきのもので例にしてみると、
どうでしょうか。例では少し細かなVISIONになっています。それぞれのVISIONの間に衝突があると困るので、そこには注意してください。
また、VISIONに「売上100億円達成している状態」と定義したい気持ちはわかります。状態を表していますから、悪いことではありません。が、それは売上目標として、後に取っておきましょう(笑)。
上述のような「状態」をあらわしたものは、外に見せるようなものじゃない感じがしますね。
私はそれでいいと思っています。社員さんたちが目指せるなりたい姿であれば、それで構いません。
ただ、外に見せるVISIONを考えたいという欲求もあるかもしれません。
そんな時は、内部的なVISIONを外部と絡み合わせて、ひとつにまとめるようにします。
オンリーワン製品で市場を開拓し、妥当な価格で顧客に喜ばれ、安定的な成長を維持している
というのはどうでしょうか。上のものをまとめてみました。
外部の第三者に見せるときは、こうしたVISIONの方が受けるかもしれないですね。
ここでは、事業計画内にVISIONを設定することを目的にいろいろ書いております。そのため、第一義的には内部で参照するものとして考えています。
が、一方で、上述のとおり、金融機関や利害関係者に「見せる」ためのVISIONというのも存在することは確かです。
いずれにしても、VISIONを設定して終わってはいけません。大切なのは、それを社内に浸透させることです。
いろいろな方法があるとは思いますが、それはまた別途考えてみましょう。
続いて、ちょっと決めたくないですが「撤退する条件」も新規事業計画では考えておきたいです。