残念だが撤退する条件

新規事業、多角化を勧める話をしているのに、「撤退する条件」を設定しろというのはなんだか矛盾しているようにも思えますが、実はこれが結構大事です。

 


新規事業を進める際に陥りがちなこと

新規事業や多角化というのは、大体において「楽しそうなこと」をやるケースが多いかと思います。「新事業、多角化事業の選び方」のところでも書いていますが、できれば、苦しくても続けられるものを選ぶのが良いことは間違いありません。

 

がしかし、楽しいがゆえにビジネスとして成立していなくても、続けてしまうということが起こったりします。新規事業を進める際に陥りがちなことです。頭の中が、お花畑にならないようにする必要があるのです。

 

それを防ぐためにも、撤退する条件は事業計画の中に盛り込むことを勧めています。


撤退条件の項目は最低2つ

撤退するか否かを決めるための項目は最低2つです。

 

ひとつは、売上や利益などの定量的な数値です。たとえば、新事業での売上〇百万円とか、新事業での利益〇万円とか、そういう具体的な数値です。その数字を達成できなかったとき、撤退するという数字です。

 

もうひとつは、それをいつまでにやるかという期限です。3年後とか、5年後とか、できれば〇年○月末のように期限をきちんと設定できるとより良いでしょう。

 

結果、「〇年〇月末までに、新事業で売上〇百万円が達成できなかったら撤退する」という条件を作ります。

この他に、たとえば、「新事業を担当する社員が1名育っていること」とか、「社長自身がその事業に直接タッチしなくても回るようになっていること」とか、そういう定性的な条件を加えてもいいでしょう。

 


赤字を垂れ流し続けないために

いくら主事業が安定していても、新規事業、多角化事業が大赤字では、意味がありません。赤字を垂れ流し続けないために、撤退条件はきちんと決めておきたいところです。

 

そして、その撤退条件をきちんと意識するためには、「事業別の管理会計」は必要です。1円単位でやったほうがいいとまでは言いませんが、大きなくくりで原価管理、固定費の配分などについては、計算できるよう仕訳の入力などを工夫することが必要です。

 

このあたりは税理士さんとも調整しながら進める必要があるでしょう。

 

撤退条件を決めたら、次は「初期投資額とその資金調達方法」について計画しましょう。