当然、零細企業でも経営に迷うことはあります。いや、むしろ、相談したいことだらけかもしれません。政府も小規模事業者への補助金を設置していますし、中小企業白書以外に小規模事業者に特化した白書なども作っています。それだけ、零細企業への支援を強めているわけです。
中小企業診断士として、商工会議所の窓口などに座っていると、相談に来るほとんどは、
です。製造業なら企業規模が300名までは中小企業という枠組み(中小企業支援法)ですが、そういう規模のところは相談には来ません。
つまり、零細企業こそ、経営に困っていて、せいぜい、税理士さんくらいしか相談相手が居ないという場合が多いのです。
上述のような中小、零細企業の方々は、相談相手が居なくて孤独です。税理士さんも税務の相談には乗ってくれても、経営全般の相談には乗ってくれないことが多いようです。
零細企業の中には経営に困ったとき、どこに行くか知っている人もいます。
それは、「商工会議所」や「役所の経営相談窓口」です。
しかし、これを知らない人は多数いて、事業運営の先輩たちに意見を求めたりすることはあっても、その先輩たちも断片的な知識や自分だけの経験で話すので、体系的ではありません。
ましてや、同業他社の社長に相談するなんてことは、できない場合も多かったりします。
いわゆる「コンサルティング」にはなっていないケースが多いわけです。
困っている人が居るのだから、つまり、ニーズがあるのだから、零細企業向けの経営コンサルタントもたくさん居るんだろうと思われるかもしれません。
が、そうでもないんです。なぜなら、「儲からない」からです。
零細企業向けの経営コンサルタントを探そうとして、Googleで検索すると、
などと書いてあるところが多く、零細企業に本気で向き合っている経営コンサルタントはなかなか見つからないのかもしれません。
正直、見つかっても大企業OBのもうだいぶ歳を取った年金で生活しているコンサルタントとか、駆け出しでまだまだ経験の少ないコンサルタントとか、そういう人にあたってしまうことも少なくありません。
そんな状況なので、零細企業の方々に、金融機関などの紹介でお目にかかったりすると、
「一体、誰に何を相談すれば良いの?」
と聞かれることがあります。このとき、
「何でも相談してください」
と私は駆け出しの頃、言っていました。が、これは間違いでした。零細企業の方々は、まず何を相談すれば良いか本当にわからないのです。
そして、相手がちゃんと零細企業の実情を理解してくれている人なのかどうか、不安でもあるのです。
さらに、なぜ、自分たちの事業が悪くなってしまっているのか、良くなる可能性はあるのか、何をしたら良いのかがわからなくなっていることが多いので、当然かもしれません。
だから、私は零細企業の方々から、よく話を聞き取るように頑張っています。場合によっては、なぜこの仕事を始めたのかという根本的なところから、今現在、事業がどういう状況にあるのかや決算書を拝見したり、取引のある金融機関などの意見を聞いたりもします。
たいていの場合、この聞き取ることが零細企業への経営コンサルティングでもっとも大切だったりします。
そして、私はたいてい、聞いた話を目の前で図に書いたり、メモを残したりします。
欧文印刷という会社のNu-Boardという製品を使ってメモするのですが、多くの零細企業の経営者はスマートフォンでそのメモの写真を撮ってお帰りになります。
恐らく、自分が何を話したのかがまとめられて、後で見返すとそれを思い出すのだろうと思います。
実際、これだけでも効果があります。
ご自身が何を考えていたのかを引き出され、それが図にまとめられ、方向性が見えてきたりするからです。
大事なことは、「話すこと」だけではありません。やはり、何らかの経験と知識を持った相手に対して話して、その情報がまとめられることが大事です。
結果、方向性が見える可能性が高まるのです。
必要性はなんとなくわかったし、話せば効果がありそうだということも理解できたけど、相談する料金は高いんでしょ?と思われがちです。確かに、安くはないかもしれません。
一般的に、経営コンサルタント(たとえば、中小企業診断士)の業界で言われる相場は1ヶ月10万円を下回ることは無いかもしれません。
おまけに、効果があるかないかわからない状態で契約するのは、やはり二の足を踏みます。
それは当然のことです。
お勧めするのは、人から紹介してもらうことが一番でしょうか。
そしてそれができない場合には、上述した商工会議所や役所の窓口に出向いてみること、さらに取引金融機関などからの紹介を受けることも良いと思います。
そういう場合には、「公的支援」という制度が使われることが多いです。
「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、公的支援にもそういう面がある可能性はあります。無料だったりもするので(ただほど高いものはないとも言う(笑))。コンサルタントへの支払は、行政機関などが肩代わりしてくれる訳です。
ただ、そういう制度を使っていると、時々、「この人はいいな」という人に巡り会います。
弊社代表と出逢ってもらえれば、それはそれで嬉しいですが、他にもよいコンサルタントはたくさん居ます。逆も居ますし、人的サービスですから「そりが合わない」ということもありえます。
良い人に巡り会ってくださることを願うばかりです。
弊社に経営コンサルティングの依頼を検討されるなら、価格表、ご覧ください。
弊社の支援先に靴の製造業さんがおられます。
社長以下、数名で運営されています。
守秘義務もございますので、詳しいことは言えませんが、毎月、経営のことについて話し合っています。
この零細企業の社長がよくおっしゃるのは、
「毎月、こうして話すことによって、頭の中が整理されるし、愚痴も聞いてもらえるので、気が楽になる」
と。零細企業の社長は本当に孤独であることが多く、経営コンサルタントへのニーズの中でも「話を聞いてもらう」ことが非常に大事だったりします。
経営相談窓口で、こんなことを言われたこともあります。
資金繰りに困っており、役所の経営相談窓口に零細企業の社長がいらっしゃいました。決算書や直近の試算表などを拝見させていただき、いくつか事業に対する質問もさせていただきました。
非常におもしろい事業をされており、市場ニーズはあると思われました。が、社長はもう資金繰りでぐったりしていて、やる気が減退しているご様子でした。そこで、気づきを提供するために、追加で市場ニーズに関する質問をしてみました。
その質問に、その零細企業の社長が自身で整理して答えていくうちに、自分でも「市場ニーズは残っているな」と気づいたようです。資金繰りは厳しい状況に変わりはありませんでしたが、「銀行に対して話すネタができた」とおっしゃって帰られました。
社長がお帰りになった後、役所の職員が「佐川さん、あの社長、ニコニコして帰りましたけど、何を話したんですか?」と言っていました。
経営相談窓口の実績を入れると、数え切れないほどになりますが、少なくとも3ヶ月以上の間、コンサルティングサービスを提供した企業の業界、業種などの実績を挙げてみます。
経営全般でコンサルティングサービスを提供しますが、主には販売促進策、資金繰り、新製品開発、新事業推進、ネット活用などについて、相談を承ることが多いです。