お客様の仕様で靴を作る、OEM靴製造業。
案件数の増加に伴ってどの案件がどの工程にあるかわかりにくくなっていました。
中小工場とはいえ、工程管理はした方が良い。
システム導入前は、原則、週に一度、月曜日の朝に進捗会議をしていました。その週に行うべき案件を全員で共有して、画像のようなマッピングをしていました。
重要度と緊急度で案件を分けて、マッピングするわけです。ごく一般的なマッピングの仕方ですし、効果もあるでしょう。
この中小工場では、そもそも案件が個人に貼り付いていたことも問題でした。そのため、このマッピングをするだけでも、情報が共有され、お互いが手伝った方が良いのかどうかわかるようになりました。
ですが、実はこの中小工場、工場兼事務所と工場の2カ所に拠点が分かれています。結果、別場所で今、どの案件をやっているかというのが月曜日には見えても、火曜日以降、来週まではどの工程まで進んでいるかは、わからない状況でした。
それでも、個々人に案件が貼り付いていたので、工程を回すことはなんとかできていました。
案件が増えてきたことで、子どもがおもちゃを片付けないように、現場も混乱してきました。また、週に一度の会議では到底、全案件の全工程を共有するのは難しい状況にもなってきました。
さらに、工程がどこまで進んでいるか共有できていないことで、工場の効率も下がってきました。なぜなら、案件管理者ごとに工場へ生産を依頼するため、今、工場が暇なのか、それとも忙しいのかがわからないからです。
結果、工場が手持ち無沙汰になったり、逆に案件で山積みになったりすることが出てきました。
拠点間でお互いの状況がわからないのは困る。。。という状況に陥ったので、工程進捗を共有したいということになりました。が、難しいツールは困るし、お金もそれほどかけられない。直感的に使えて、工場の人間もサクッと使えるものがいい。。。
しかし、自分たちでは何がいいかわからないということで、当方へ相談がありました。
当方は、ある程度の靴工程には知識があります。ですので、この会社の社長には、より細かな工程やどんな項目を管理したいかなどを聞き取りました。
管理したい項目はそれほど多くなく、10項目程度でした。
その中で一番大事だったのは、「工程」です。どこまで進んでいるのかがわかるようにすることが大切だったわけです。
これがわかれば、この中小工場が今、手待ちなのか、それとも一杯なのかがリアルタイムにわかります。結果、外注を手配した方が良いのか、それとも内部で作業ができるのか判断できるようになるからです。
機能は上のとおり、大体わかりましたが、別の課題として横たわったのは、「リテラシー」です。
工場の人間も含め、この会社の方々はパソコンにはそう詳しくない状況でした。
結果、「直感的に使えて」「拠点間で情報を共有できる」ことが重要だということになりました。
そして、できればあまり大きなコストはかけたくない。
Notionというノーコードツール(※脚注参照)を採用してボードという機能を使うことにしました。
理由は、
といったことが理由です。他にも類似のツールはありますので、Notionでなければならないということではありません。が、IDが2つ程度、つまり工場と事務所だけで十分、という状況では、「IDが5つから」といったようなローコード、ノーコードツールは使いにくいためです。
このNotionを採用することによって、
などのメリットが得られました。
同時に、あまりコストがかかっておらず、操作も直感的であるため、すぐに定着しそうです。
ある程度、定着したとは言え、まだまだ管理が効率的にできているとは言いがたい状況かもしれません。
今、OEMの案件を約50件登録して運用しはじめたところです。
今のところ、工程が見えるようになったことで、管理者同士のコミュニケーションが発生したり、工場のモチベーションが上がったりしていて、効果が出てきそうです。
一方、使っていくうちに、追加の機能が欲しくなったり、共有するメンバーを増やしたくなったりすることも考えられます。
今後は、そうした課題にどこまでこのNotionがついてこれるかでしょう。
※ノーコードツールとは
ノーコードツールとは、システムで使う機能をプログラムを書くことなく作れるツールの総称です。画面を作ったり、データを検索したり、更新したりする機能を、プログラムを一行も書かずに実現できるものです。ただし、複雑な機能は作れませんので、何でもできるわけではありません。