この分析方法に否定的な意見を持っているコンサルタントの先生もいらっしゃいますが、情報をまとめる手法としては確立されたものです。数多くの企業が事業計画を作る際には、実施する分析手法でもあります。作ること自体は簡単なので、やってみてください。ただ、それを見てどう考えるかというのは、なかなか難しい作業ではあります。
4つの視点というのは、
です。1と2を合わせて内部環境、3と4を合わせて外部環境などといったりします。
ちょっとやってみましょう。
強み | 弱み |
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機会 | 脅威 |
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ご自身の事業でもこういう分析をやってみることをお薦めします。
ポイントとして、
ということがあります。
ただ、新事業を進める際は、その業界のことがわからなかったり、どんな市場動向になっているかが今一つ理解できていなかったり、新たに始める事業のため、強みが全くなかったりするかもしれません。
そういう場合には、業界に詳しい知人、友人やコンサルタントに聞いたり、行政や商工会議所の経営相談窓口などに出向いて相談したりすると良いでしょう。ここで、調査費用をかけて市場調査するというやり方もありますが、小さく始めるためには、大がかりな市場調査はまずは必要ありません。
SWOTでまとめてみたら、次は戦略をそこから導き出します。それぞれを掛け算して行きます。
考え方としては次のような形です。これをクロスSWOT分析と呼んでいます。
強み | 弱み | |
機会 |
強み×機会: 機会を強みで的確に捉える戦略は? |
弱み×機会: 弱みを克服することで機会を得られないか? |
脅威 |
強み×脅威: 脅威をうまく回避できる強みの使い方は無いか? |
弱み×脅威: 弱みが脅威にはまり、最悪にならないためには? |
たとえば、先ほどのSWOTの例だと、弱み×脅威では、高コスト体質と顧客のコスト低減要求が絡んでしまうと、非常に問題があります。顧客のコスト低減要求を自社の力で変えることはまず無理ですから、高コスト体質を早く改善しないと最悪なことになるというわけです。
対象市場の規模が大きくなることが見えている中で、自社が知られた存在で、かつ特徴的な製品を持っているということなので、情報の拡散と営業体制の構築で売上を引き上げられる可能性はあるでしょう。
ただ、他社も特徴的な商品を出し始めているという脅威がありますから、これへの対処は必要になりましょう。
といった具合です。
事業計画書にあるSWOT分析のフォームに記入するときは、クロスSWOT分析ではない形式で記入しておきます。
そして、クロスSWOT分析を事業計画書の外側でやって、戦略を練っておきます。
もちろん、それを事業計画書の中に組み込んでもかまいません。
SWOT分析をやったあと、戦略の案を考えておくわけですが、戦略というのは本来は、現状の立ち位置から将来目標とする場所に向かうための方策です。そのため、本当ならビジョンをまずは設定し、そののちに戦略を考えていくというのが流れではあります。
ただ、一度もこうしたSWOT分析のようなことをしたことがないという場合には、まずは自分たちの置かれている状況をまとめ上げておくのは悪くありません。
その上で、あらためて3年後、5年後にどういう会社になっていたいかということを考え(ビジョンの設定)、もう一度、SWOT分析に戻ってきます。
すると、そのビジョンと現状に大きな差があったり、あまりもう差がないところもあったりすることを発見します。場合によってはSWOTを追記することになるかもしれません。
このループによって、戦略の案が洗練されて、より良い案に近づいていくものと信じています。
環境分析が終ったら、なりたい姿(VISION)をイメージしてみましょう。