事業ノウハウの獲得


新事業を進めるにあたって、新しく進出する業界、市場などを目指すとき、その業界や市場の情報、商習慣、動向などを知っておく必要があります。そうでないと、突拍子もない方向に進んだり、無駄なコストがかかったり、「新参者め!」と切り捨てられたりしてしまいます。

 

では、どんな風に新規事業の事業ノウハウを獲得し、貯めていくのがいいでしょうか。

いろいろな色えんぴつ
カラフルな事業ノウハウを得たいですね

まず、共有することを意識する

弊社のように一人ぼっちで事業を多角化したり、新事業を作ったりするのであれば、これを意識する必要はありません。自分が忘れなければいいので(それでもなお、ちゃんとまとめておいた方が後で参照できるので良いに決まっていますが)。

 

もし、社内に新事業推進の担当者が複数名いるのなら、きちんと情報を共有する意識を持ちましょう。たとえば、

  • ネット上に情報共有、蓄積ができる仕組みを導入しておく
  • 定期的に情報交換できるような場所を用意する
  • 報告体制をきちんと構築しておく

などを準備して置き、はじめは管理者が口を酸っぱくして担当者に報告を求めるようにしましょう。


具体的にどんな方法があるか確認する

新しく進出する業界や市場の情報をどういったところから得るかは、その製品やサービスによって違いがあるかもしれません。が、概ね次のようなところからになります。

  • 業界紙・業界本の購読
  • 業種別審査辞典などを読む
  • SNSやネット情報の探索
  • 特に業界団体のサイトなど
  • 店舗、工場などの視察
  • 展示会などの視察
  • 業界人との交流
  • コミュニティなどに参加
  • 商工会、商工会議所に聞く
  • FCに参加する、説明会を聞く
  • 調査会社の情報を買う
  • コンサルタントと契約して聞く
  • 実際に業界でアルバイトしてみる

他にも方法があるかもしれません。できることからやってみるといいでしょう。それぞれの細かなことは、順次、リンク先をご覧ください。


新しい業界、新しい市場の何を知るべきか

さて、では、新しく進出する業界、市場の何を知るべきでしょうか。まとめてみましょう。

ビジネスモデルや商慣習

  • ビジネスモデル
    • メーカー、問屋、小売店などのそれぞれのビジネスモデル
    • また、最近の傾向などがあれば、そういった情報
    • 流通やサービスの提供ルート内でどのような付加価値が生み出されているか
  • 業界の慣習
    • 業界での一般的な商流がどういう流れか
    • 業界での一般的な価格体系や掛け率(卸)
    • 受発注や支払等の慣習(電子化の状況や支払に手形などがあるのかなど)

業界の構造

  • 主要な企業など
    • メーカー、問屋、小売などの主要な企業はどんなところがあるか
    • それぞれの資本関係などがわかる範囲で調べる
    • 競合になりそうな企業や協業できそうな企業、顧客として狙えそうな企業など
  • 業種業態
    • 昔からある業種構造なのか
    • 小売などで新しい業態などが生まれていないか
    • 特に、近年、変化があったところがないかどうか

市場ニーズ

  • ニーズの動向
    • 注目の商品、サービス
    • 流行っているもの、廃れたもの
    • ニッチだけど参入できそうなニーズ

新事業のノウハウの貯め方、お薦めの手順

各種の情報の取得元や得る情報は上述のとおりですが、個人的にお薦めの手順をお知らせしておきます。

  1. 全体像を知る
  2. 個別分野を知る
  3. ユーザを知る

の3つのステップです。

 

まず、全体像ですが、業界の代表的プレイヤーとか、構造、商慣習、競合状況などについてです。これは効率的にやるには、業界に精通したコンサルタントなどに聞いてしまうのが早いでしょう。

 

続いて、個別分野です。これは進出しようとしている業界はまるっと1つの業界ということではなく、分野があるはずです。たとえば、文房具だったら、筆記具と紙製品は違う動きをしているはずです。進出しようとしている業界のどの分野を狙うかで、製品の開発の仕方やサービスの提供方法が変わるかもしれませんから、個別の分野についても知っておく必要がありそうです。

 

最後に、ターゲットとなるお客様のことを知ることです。特に、B2Cビジネスに進出する場合には、エンドユーザーのニーズを知ることは非常に重要でしょう。また、そうしたユーザーがどのように新しい情報に触れているかも確認しておきたいところです。


事業ノウハウの獲得にゴールはあるのか

セミナーなどでこの新事業開発の話をするとよく質問されるのが、

  • ノウハウを貯めることにはゴールはあるのか?
  • どの程度、ノウハウを貯めたら十分と言えるのか?
  • どのくらいの期間を必要とするものか?

といったことです。正直に言うと、ゴールはありません

 

なぜなら、どの業界も日々、変化しているからです。そういう意味では、

  • 継続的に情報収集すること(受動的ではなく、能動的に)
  • 変化に着目すること(常にアンテナを高く)
  • 自身で発信できるようになるレベルがベター

という感じです。継続的に情報収集して、ノウハウを貯めながら走りましょう。

事業ノウハウの貯め方が大体理解でき、実際にたまってきたら、次に行うのは新事業の外部へのアピールです。